50音恋愛
【つ】
*付き合って下さい*
「えっと、えーと付き合って下さい……っ」
恥ずかしくて語尾が小さくなりながらも、必死で目の前の男に告白する。
「声が小さい!そんなんじゃ聞こえねーよ」
あ、この男。
私の好きな人ではありません。
ただの幼なじみです。
何度も幼なじみと一緒に告白の練習を重ね、
やっと。
「まぁ、いいんじゃね?」
オッケーが出た。
だから私は好きな人を呼び出して言ったんだ。
「好きです……付き合って下さい」
やっぱり練習の時よりはうまく出来なかったけど、最初の時よりはヒドくないと思う。
「ごめんなさい。」
ああ……、でも、
駄目だった。
泣きそうになるのを堪えて、彼が去っていくのを見ていると
後ろから幼なじみの声がする。
「今の告白は65点ってとこだな。」
人が落ち込んでいるのに、相変わらずヒドい奴だ。
「見本みせてやるよ」
彼はそう言うと真剣に私を見つめて言った。
「好きです、付き合って下さい」
ドキンーー
「本気だから。」
そう言う彼の告白は点数を付けるなら100点満点だと思う。
だって、私……
ドキドキがとまらないから。