50音恋愛
【と】
*友達に戻ろうか*
「友達に戻ろうか」
すごく、仲がよくて友達みたいなカップルだって言われていた私達は今日
ただの友達に戻ることにした。
付き合って1年、色んなことがあったけれど
結局キスもされなくて、手をつなぐのだって全然
小学生が女の子同士手を繋ぐような繋ぎ方だった。
結局私達は友達という関係から抜け切れていなかったのだ。
だから、別れを告げたの。
だって付き合っていれば、絶対何かしら期待してしまうから
期待してガッカリするなら最初から友達のままでいた方がいい。
だけど、
「ねぇ!あれ見て……」
っていないんだった。
隣にいないのは、とても寂しい。
なんだから歩くたびにじわじわと目が熱くなってきて
涙がポロポロ零れだす。
なんだ、自分。けっこう好きだったんじゃん……。
なんて涙をふくと、
「おい、」
後ろから聞き慣れた声がした。
「友達に戻ろうか
じゃ、ねぇよ。誰が許すかボケ。
こっちはなもうお前のこと彼女として離す気なんかねぇんだよ」
いつも、そんなん言わないクセに何男らしいこと言ってるの
なんて思っていたら、いきなりぐいっと引き寄せられて
「んん……っ」
強引にキスを奪われた。
「何するの!」
「もう、我慢なんかしてやんねぇよ」
仕方ないから私は、友達に戻ること取り消した。