50音恋愛
【ぬ】
*抜く*
小さい頃は私の方が勝っていた。
「ふふ〜ん、また私の勝ちだね。
チビー!」
「うっせぇよ、俺はこれからなんだ
絶対に抜いてやるからな!!」
小さいころは身長に差があって、私が見下ろしてたはずなのに
気付いたらいつの間にか
見下ろされていた。
「ふ、身長抜いちゃたね」
抜かれた時はそんな風に言われて、とても悔しかった。
だけど、どんどんと身長に差が開いていって
話すたびに目線が上がっていく。
「すっごい嫌」
私がそう言うと彼は言った。
「そ?
でもキスはしやすいと思うけど」
「はぁ?」
驚いて、大きな声でそう聞かえすと
「カッコ悪りぃだろ
好きな奴より、背低いの。
これでも結構頑張って牛乳飲んだんだけど」
そんな事を言ってくる。
そして、彼を見ていると顔が近付いてきて
ああ、キスしやすい距離……。
なんて思っている自分がいた