50音恋愛

【き】

*嫌い*



「ねぇねぇ!愛華ちゃんは竜太君のことどう思う?」

私の好きな人、クラスで一番人気の沢村竜太。


そんな私が竜太の事を好きだって知られたくなくて、

「嫌いだよ、あんなやつ」

そう答えた。

「ふぅん、お前俺の事嫌いなんだ

ま、俺もだけど」


後ろにいた事に気づかなくってその言葉を言ってしまったけれどもう訂正はできない。


そっか、竜太私のこと嫌いなんだ……。

「そういえばさぁ、今日俺の友達がお前に告るから」

けらけら笑いながらそういう男子に

「まじで、じゃあ付き合おうかな」

という竜太。

すると、教室のドアから竜太が呼ばれた。

告白だ。いっちゃ嫌だ。誰かのものになれないで。


そう思っていただけのはずなのに、

「竜太」

私は声を出していた。

振りかえった竜太に言う。

「行くの……?」

なんでこんな事聞いているんだろう


「だってお前、俺の事嫌いなんだろ?」

そうだよ。嫌いだよ。
だってクラスで一番人気の竜太を好きだなんて言ったら笑われるじゃんか


「嫌い。

……じゃないよ」

だけど私の本心はこれだった。

そう言った私を見て竜太は笑って

「じゃあ、断ってくるわ」

そう言った。









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