50音恋愛

【く】

*雲*



私は屋上で一人呟いた。


「雲になりたい……。」

学校で友達が出来ない。
それどころか、ハブられている。

そんな現実が嫌になってふわふわと浮かぶ、

雲になれたらいいのにと思った。


「お前って変なやつだな」

私の呟きに、返事なんか返ってくるはずないし、必要ないのに

なぜか、言葉が返ってきた。

屋上のフェンスを掴んでる私の横に彼はきた。

名前は知らない人

「だって、雲になったら

誰かを喜ばす事、出来ないぜ

雨降らすんだもん、困るじゃん?」


なんだ。それ。
私より、よっぽど変なやつ。

だけど……。

「じゃあ、まだ人間でいいや」

変なやつな私は
もう少し、人を喜ばすことをしたいと思った。


< 8 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop