女神の纏足


「例えば、さ」


私の肩に顔を疼くめたまま話を続ける彼




「本当の子供と別け隔てなく育ててくれた義理の母親が居たとする」



「…はい」



「その母親から、家督を実の子に譲れと言われたら」


これは、



「譲る、べきなのかな」


本当の話?



「例え、それが、」



"自分の全てだったとしても"



「っ」





家督を継ぐことが、



全て




なんて悲しい話で、


なんて悲しい人なのだろう




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