女神の纏足



好きだから、



好きだから、



「はい」




この人になら捧げようと思った




例え、



それが他の誰かを愛してやまない人だとしても。






 
深く甘い旋律の中で意識が遠のく



「ゆに、さまっ」



現実であることを忘れぬよう、意識が途切れてしまわぬよう、


何度も、何度も名前を呼んだ 



「マリアっ」


その声が、その手が


最後だと言っている気がして



「お慕い、しておりました、」


私も、最後の言葉を吐く


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