女神の纏足
深い、深い旋律が止まる
「ゆに、さま?」
見あげれば固まったまま呆然とする彼
見開かれている瞳は血よりも濃い真紅
いつもブレない彼
でも本当は皆と同じで、
「泣かないで」
そっとその綺麗な頬に手を添える
「あなたはきっと大丈夫」
「っ、」
くしゃりと歪んだ顔
何故、こんなことを言ったのか自分でもわからい
だけど、今言わなくてはならなき気がして
「ん」
再び始まる旋律に意識は持っていかれ彼の顔は見れない
だけど上から降ってくる水滴がそれでいいのだと、
見なくていいのだと言っている気がした