女神の纏足
〈ラウ〉


前を歩く彼女を見つめる


昨日のみだれが嘘のように、辺りを静かな目で見つめる彼女



「アリス様のこと、言わないでくれてありがとうございました」


「あ、はい」


前の彼女は歩みを休めることなく、こちらを見ることもない


「助かりました」


ふと歩みを止めた彼女が振り返る


フードからこぼれでる柔らかなチョコレートブラウンの髪



「嫉妬に狂った女なんて醜いでしょ?」


自嘲的に笑う彼女


「あの方にだけは、知られたくなかったから」


似合わない笑み


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