女神の纏足




「可哀想な花達ですよ」


それは、忘れられた存在だから?



可哀想だと呟いたわりにその瞳からは憐れみの色さえ感じられない


きっとこの花達に何の感情もないのだろう。だって物を見る目をしているから。



「私は執務があるので戻らせて頂きますがどうなさいますか?」


「わたくしも戻ります。」




部屋に戻ればまた退屈な時間がやってきた。



明日には術師たちのもとへ連れて行ってもらえる。




私は、どうなるのだろう。


レヴィアタン家は、父が死んだ今どうなっているのかな。



今でも信じられないけど、お父様は当主だったらしいから。


何か変わるのかな、それとも何も変わらないのかな。

変わらなければいい。何も変わらなくていい。




「ユニ様…」


不安です。頭をなでてください。抱きしめてください。そうすればきっと…。



無理なことくらい分かってるのに。


アリス様、見つかったのかな。見つかってなければいいのに、そう考える私はなんて卑怯なんだろう。




その日の夜、また夢を見た。


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