女神の纏足
ベル様に連れられてたどり着いたのは、窓のない部屋だった。
ベル様が入口のランプに火をつければ、たちまち部屋中に設置された灯りが灯っていく。
「ここは?」
ラウ様が部屋を見渡す。
「実験室の一つじゃよ。嬢ちゃん、あそこに立ちなさい。」
そう指さされたのは部屋の中央、床に書かれた魔法陣の中央。
「今から何を…?」
急激に不安が襲ってくる。
「いくつか方法はあるが一番手っ取り早いのは、記憶を見ることよ。」
「記憶?」
「記憶を探られるのは嫌ならほかにも方法はたくさんあるぞ、血で検査するとかな。まあ今すぐ知れるのはこれだけだ。…どうする?」
探られて困る記憶は…ある。
ランダとか、ランダとか…ランダとか!!
ごそごそと部屋の隅で行動していたベル様が何かを抱えて魔法陣の中央にそれを置く。
「甕(かめ)…?」
ベル様が抱えていたのは水の入った甕だった。