女神の纏足



たぶんこれは私が見ていた映像。

赤子のときの、お父様に抱かれている私の目に映るもの。





初めて見た母の姿に、思っていたよりずっと何も感じることはなかった。


ただ、ああこの人が父の愛した人なのだと、思った。





「ラオス公…」


だがラウ様は違ったらしい。


明らかに動揺している。




「ベル、様…?」


ラウ様がベル様を見つめる。



まるで、答えを求める子供のように。




「そういうこと、だろうな…。」



ベル様は力なく、ラウ様ではなく私を見て笑った。


悲しみとも、同情とも取れるような笑み。


< 232 / 332 >

この作品をシェア

pagetop