女神の纏足
「戸惑う、と思う。」
急に世界のために死んでくださいって言われて。
それってすごく…
「そう。神聖な者だと崇めはしても自分がなりたいかって問われたら別でしょ?」
「うん…。」
「一昔前まではさ、女神を出した家ってすごく優遇されたし、躍起になって女神排出しようってとこ多かったんだけど最近そうでもないんだよね。」
「そう、なんだ。」
知らなかった。
私の読んだ本には女神に選ばれることは一族の栄華に貢献する光栄極まりないことだ、みたいな感じでべた褒めされてたし。
先生もそんな感じのこと言ってたから。
「っていうか生まれないんだよね。アラストル家以外から。」
心臓が止まるかと思った。
アラストル家、その単語に。