女神の纏足
って一通り話して貰っても頭になんか詰め込めないのよね。
私なんてユルに何回説明してもらったと思ってるの?
ほんと、これ一回で覚えられる人がいたら見てみたいわ。
過ぎて欲しくない時間というのはあっという間に過ぎるもので。
考え事をしているうちにいつの間にか、
「まぁ!お綺麗です!」
ついにドレスを身にまとってしまった。
もうすぐユルの迎えがやってくる。
私はついに何も決めることも出来なかった。
コンコン、と扉をたたく音とともに現れたのはいつにもまして美しいユル。
燕尾姿がとても似合ってる。
リリアが見とれているのもわかる。
「綺麗だ。」
妖艶にほほ笑み跪くユルに差し出される手。
そして私も静かに差し出された掌に手を添えた。