女神の纏足
そんな感じで特に話もしないまま私たちは別れることに。
「挨拶回り、頑張ってくださいね。少し意地悪な方とかいるかもしれませんけど。」
一瞬で笑顔に戻る彼女はさすがだと思う。
ニコニコとほほ笑む目の前の彼女は可愛いという表現が似合う。
私と同じくらいなのだろうが、まん丸い目と揃えられた前髪が幼さを醸し出す。
「はい、ありがとうございます。」
別れ際に
「そのドレス、似合ってる」
と口にしたユニ様に胸が高鳴ることはなかった。
だってそれ以上に、
私に背を向けアリス様の肩を抱くその姿が苦しかったから。
「これが現実だよ。」
そう言い放ったユルに
「…うん。」
私はうつむき涙をこらえることしかできなかった。