女神の纏足


「わからない?」


「ええ」


自分の家がわからない?


お家を一番に考えるこの世で、自分の家が分からないなどありえるのか



「何が、分からないのでしょう」


「…全て、」


「名前も?」


「はい」


「場所も?」


「はい」


「でも、貴女は家から一人でここにこられたのでしょう?」


「ええ。でも馬車で眠ってしまったり、川で流されたり、あと誘拐されたりしたから…」


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