女神の纏足
「うん、頑張ったほうだと思うよ。」
そう頭をなでてくれる手がくすぐったい。
この際刺さる視線は気づかないふり。
この数十分で慣らされました。
顔を上げると目に入る二人の姿。
どこかの伯爵と談笑しているようだが、こんなにきれいな人たちばかりでも際立って目立っている。
とってもお似合い。
どうしてそんなに嬉しそうなの?
ねえ、ユル様…
泣きたい。でもまだ泣いてはいけない。
目にたまる涙を必死に乾かしていると、頭上でユルが呟いた。
「ダンスだな。」
「…え、」
次の瞬間から流れ出すクラシック。
「一緒に踊っていただけますか?」
本日二度目の跪くユルになんだか少しだけ笑顔になれた。