女神の纏足
その視線の元に視線を向ければ、
「ユメイル。」
俺に似た声が俺を呼ぶ。
「はい。なんでしょう兄上。」
俺は兄さんが大好きで、今まで兄さんと喧嘩なんかしたことがないんだ。
理由は単純。
兄さんは怒らない、俺は兄さんに逆らわない。
「後で部屋に来い。」
「…御意。」
大好きでずっと憧れてたその人を、
俺は生まれて初めて
敵視している。
この時から道が分かれる予感はあったんだ。
俺たちは選択を間違っていたのかもしれない。
それでも、
俺はやっぱりこの道を選んだよ、アネモネ。