女神の纏足



中に入れば変わらずに咲き誇る花達。




ああ。やっぱり綺麗。


そして可哀想。



「意外だな。ラウがここに連れてくるなんて。」


「え?」


意外って何がなんだろう。


「兄さんここ嫌いだからな。ラウは兄さんが嫌いなものは嫌いなんだ。」


「ユニ様が嫌い?ユニ様っ、ここ嫌いなの!?」


思わず大きな声が出てしまった。



「本人に確かめたことないんだけど。小さい頃ここで遊ぼうとすると、いつも理由をつけて違う場所にしようって言ってきたから。」


「そう…。」


静寂が私たちを包む。




ふと見上げた星空には一筋の光。


『あ』


二人の声が重なる。

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