女神の纏足
「いえいえー。ってか役得じゃん?」
なんてクスクス笑うユルはいつものユルで、さっきの妖艶なユルは消えていた。
「何それ。」
なんて笑いながらも心臓は一足遅れて高鳴り始める。
なんというか、さっきのユルはユルじゃなかった。
甘くて妖艶で、いつものユニ様に似ていた。
ユニ様に似たユルにか、それともユニ様の面影にか、どちらに胸が高鳴っているのかは分からないが。
そんなことを考えているとクスクスっという笑い声がする。
横を見てみると消えていたはずの妖艶な表情が再びそこにあった。
「もしかして、意識してる?」
そういいながら掌を絡めてくるユルの顔から、目をそらせない。
「してない、よ。」
「そっか。残念。俺はそういうこと、してもいいんだけどね。」
ああ、さっきの話か。と少し納得する。
「…しないよ。」
「だね。星でも見ようか。」
そういって空を見上げるユル。
繋がったままの手。
「…流れ星、来ないね。」
「だね。」
暖かい右手を感じながら、いつの間にか私たちは眠りについていた。