女神の纏足


「一緒に謝りに行く?」


なんとなくそんな言葉が出た。

本当は行きたくないし、今ユニ様と合わす顔はない。

きっともう、怒らせることしかできない気がする。


それでもユニが一人で怒られるのはなんだか嫌なのだ。



「それもそれで逆効果だろうなー。」


…そうですよね、


「まあ俺ももう怒らせることしかできないだろうなぁ」

それは私に言ったのではなく独白のように聞こえた。


「……」

何も返せない。


そんなはずはない。

約束を一度破ったくらいで兄弟の絆が切れるなんてありえない。


そう思ってるのになぜか言えない。



なんだかそれは、私の言うべき言葉ではない気がして。


でもそれ以外の言葉を見つけられずに黙るしかない。



< 329 / 332 >

この作品をシェア

pagetop