女神の纏足


ユルはただニッコリと笑ってわたしを部屋へと送ってくれた。


これからユニ様のところへ行くの?

そんな一言が出なくて、

ありがとう、とだけ伝えて別れた。



コンコンと部屋のノック音と、知った気配。


「どうぞ。」

失礼します、と頭を下げドアから入ってきたのはラウ様


「…」


「…昨日、」


ラウ様が言い淀む。


「一晩を、ユル様と過ごされたのですか?」


わたしと、ユルの関係を疑ってるのか…


「ええ。ですが、やましいことはありません。」


まるで言い訳だ。なんのための言い訳なのか。きっと私は、まだユニ様に誤解されたくないんだと思う。




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