女神の纏足




あれから、私は血を飲んでいない


あの日、ユニ様の血を頂いてからかなり経つが、量が多かったためか今のところ少しの渇きしか感じていない



とはいうものの慣れない砂漠越え


体力は使うは喉は乾くはでキツイのも確か




けれど血を飲むことを躊躇う私がいる



血を飲むことが怖い


次はユニ様を殺してしまうかもしれない




あの時の衰弱したユニ様を思い出すと、脳裏にチラつく灰色の記憶


心臓が嫌な音を立て始める



「っ、はっ、はぁはぁ……はぁ」



心臓に手を当て大きく息を吸う



消えて、消えて




心で強く念じながら少しの間深呼吸を繰り返し、



落ち着いたところで岩壁へと足を進めた



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