塩味の恋
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「リストバンドとくつひもがほしい。」
モールについて、まず日向が言った。
そいえば何に付き合うのかすら聞いてなかったな、って今更思った。
「結衣さん選んで。」
「え、私でいいの?」
なんかちょっとうれしかったけど、いいのかなって思った。
「だって、前、クラス会のとき、服センスよかった、うん…」
え、なになになに、
私、そんなこと言われたら期待しちゃうから駄目だって。
思わず立ち止まった私の横を、カップルが通り過ぎる。
腕を組んで、楽しそうに会話をしながら。
少し下を向いて、私から視線をそらしている日向。
どうしよ、やっぱ、好き。
「ありがと、う、ございます…」
照れちゃって、日向の方、ちゃんと見れなかった。
「じゃ、行こ、」
日向がそう言って、少しだけ触れた手。
夏なのに、
ただでさえ暑いのに、
クーラーかかってるのに、
体温が少し、上昇してしまった気がした。