塩味の恋



しばらく無言で見つめあっていると、日向は急に笑い出した。


「ふはっ、あんま見ないでよ、照れるじゃん。」


「ご、ごめん…」


何少女漫画の主人公みたいなことしてんだか。

まつ毛みてたら見とれてました、とか。


「飲も!…ん?これって食べるっていうのかな?」


「えっ、わかんない…けど、ストローだから飲む?かな?」


そんな会話を交わして、ストローに口をつける。

甘くて、冷たくて、少し苦い。


ざわざわと様々な声が混じる店内で、意味のない会話を交わす。

きっとここにいる人のほとんどがそうなんだろう。

でも、やっぱ、日向が他の女の子とこういう時間を過ごしてたら、嫌だ。


付き合ってもいないのに、こんなことを考えて、

勝手に妄想して、自分の妄想に嫉妬して、


恋って、難しい。

私って、めんどくさい。


日向のこんな些細な時間を、全部じゃなくていいから、私だけのものにしたい。


日向の時間はものじゃないけど。


友達の沙耶だって、彼氏に対して、そんな風に考えるのかな?


あんまり恋バナとか、したことないからわかんないけど、

恋すると、こんな風になるのかな?


告白したら、こんな時間を過ごせなくなっちゃうのかな、って考えると、

なんだか少し怖くなった。







< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop