塩味の恋
「今日、楽しかったね、」
「うん、すごく。ありがとう。」
また、へへっと笑って言う。
今度は日向も笑ってくれた。
「…ごめんね、なんか。」
なんだか、胸がぎゅってなっちゃって、謝った。
日向の口角がもとに戻る。
「なんで?」
「いや、なんか。」
またデコピンされた。
さっきより痛かった。
「話したくないなら、いいけど、」
「ん…、」
薄く手汗がにじむ私の手を、日向の手が触れた。
小学生の笑い声が聞こえる。
私も混ざりたいなーって思った。
人差し指が、軽く絡む。
目が合ったけど、日向は何も言わない。
「あのね、私…、」
ずっと誰かに言いたかった。
けど言えなかった。
ねえ、全部話しても、引かない?
そんなことを頭の中をぐるぐるしたけど、無意識に、話し始めていた。