塩味の恋



「ねー、結衣ちゃん!結衣ちゃんって日向くんと仲いいよね?」


加奈ちゃんが私に聞いた。

あー、なんか、わかった。


「秋葉が、日向くん気になってるらしいんだけどぉ…、」


私に協力しろってやつでしょ、きっと。


「協力してあげて~?」


ほら、やっぱり。


私も、日向のこと、好きなんだけどな…。

他人を応援するって、なかなかつらいよ。


「えーっと、どーすればいいかな?」


でも、人の顔色を窺っちゃうクセがある私は、露骨に拒否なんてできないんだ。

秋葉ちゃんが少し考えて、首をひねる。

それを見て、また、加奈ちゃんが私に言った。


「とりあえず、日向くんと秋葉が喋れるようにしてくれればいいんじゃない?」


その言葉に、秋葉ちゃんは笑顔でうなずく。

なんか、どうしよ、もやもやする。


だって、言い方は悪いけど、結局利用されるみたいにしか、必要とされない。

こんなんじゃ、中学の頃と変わらないじゃん。


「…うん、」


「ありがと~、じゃあ、よろしく~~、」


二人が部活の方に戻っていった後、無意識に大きなため息が出た。


これで秋葉ちゃんと日向がくっついちゃったらどうしよ。

自業自得なんだけどさ。

まあ、まだ何にもしてないんだけど、…





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