塩味の恋
日向ってかっこいいなー、って初めて思ったのは入学式。
初めて教室に入って、周りをぐるーって見渡した時。
最初はイケメンがいるー、ってちょっとテンションがあがったくらい。
それで、初めてしゃべったのは委員会を決めるとき。
確か、本好きなの?って聞かれたんだっけ。
そういえば日向は自己紹介のときに、甘いもの好きだって言ってたの。
それから会話を引き延ばして、ちょっと仲良くなれた。
その時はイケメンと仲良くなったーって思ってうれしかった。
そんなイケメンくんが、今は私の隣に。
まあ、付き合ってるわけじゃないんだけどね。
ちょっとそういう表現をしてみたかっただけ。
お昼ごはんでも、二人でいけるだけすごいうれしいことだよね。
「どこ行く?」
「牛丼なら奢ってやってもよいぞよ。」
日向が胸を張って言った。
「やった!お味噌汁もつけてね!」
私は満面の笑顔で返す。
私、中学の時よりも少し明るくなれた気がする。
高校生、楽しいもん。
「おう!行こーぜ!」
かばんの分の距離だけ離れて、私たちは歩いた。
外は暑いし、くっつかないほうが身のためなんだけど。
でも、前方に手をつないだカップルを発見。
ちょっとうらやましいなぁって思った。