塩味の恋



「憧れるね、あーゆーの。」


「ね、」


学校からお店は近くて、ちょうど学校の東門から出て、校庭に沿って100mくらい歩くとある。

自転車に乗った生徒たちが、私たちを追い抜かしていく。

チラって横を見たら、日向と目が合って、なんかちょっと恥ずかしかった。


「ん?」


「んん?」


「ふはっ、なにさ、?」


「別になんでもないよーう、」


特に何の会話をするわけでもなく、短すぎる二人きりの100mはすぐに終わってしまった。


ぐるんと周りを見渡すと、茶道部の先輩が友達と一緒にいた。

入口からは少し遠いところにいたので、目があい、会釈をする。

先輩はニコッと微笑んで、私に手を振った。

えくぼが可愛い、女の子って感じの女の子。


「先輩?」


「うん、部活の。」


そんな単調な会話をしながら、椅子に座り、少ないメニューを眺める。


「私さっぱりしたのがいいなー。」


「どーぞどーぞ。」


…普通のやつより100円高いのを注文してやった。


「ね、茶道部って楽しいの?」


「んー、お菓子がおいしい。」





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