塩味の恋





私は運動は得意じゃないから。

特に美術的な何かに長けているわけでもないから。

何か得意なことでもあればよかったのになー。


「お待たせしましたー、」


なんだかいつものネガティブループに入りそうなところで店員さんが牛丼を持ってきた。

店員さんのタイミングぐっじょぶ!!!


「ありがとうございまーす」


日向が嬉しそうな顔でそれを受け取ると、私の前においてくれた。

そして自分の分も受け取ると、箸を2膳とり、片方を私の前に置いた。


「ありがと、いただきまーす」


なんか、こうさ、

こういうちょっとしたことでキュンってしちゃう自分って単純だなーって思う。


「ん、いただきます」







そしてもちろんお会計のときは日向が払ってくれた。


「ありがと、ごちそうさまでした」


「あい、どーいたしまして」


それじゃあ行こうか、って日向の一言で、私たちはお店を出た。


まだおなかいっぱいで、歩くのがゆっくりになっちゃったけど、

日向が合わせてくれてるのがわかって、またちょっとうれしくなった。


今から、もう帰っちゃうのかな、とか、

友達とどっか行くのかな、とか、考えちゃう。





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