白いジャージとオレンジジュース
「大和は3年です。あと少し我慢して、卒業してから付き合うのはどうですか」
人のことだから簡単に言える。
本人にとっては、今が大事なんだ。
それも痛いくらいにわかる。
だからこそ強くは言えなかった。
「卒業したら私のことなんて、忘れると思います。彼はきっと、高校生だから私のことを好きになってくれた」
「それくらいの気持ちなら、付き合うべきじゃない。危険すぎる」
俺が少し強い口調で言うと、斉藤先生はまた顔を押さえた。
ハンカチで涙を拭う。
「私も、彼が高校生だから好きになったんだと思う。このスリルが、お互いの気持ちを盛り上げているだけなんです。私、だめな教師なんです」
俺は違った。
直も違った。
スリルを楽しむ、なんて気持ちはこれっぽっちもなかった。
ただ、お互いが必要で、お互いを想って。
大事に大事に愛を守っていた。