白いジャージとオレンジジュース




その夜、俺は徳田の家に行った。




口止めをするつもりはなかったが、いちおう確認のために。




斉藤先生と大和のことは、聞いていないと思うが、もしも聞いていたら、と心配になって。




それに、会いたかったし。


徳田のお父さんに、さ。






「先日は失礼しました」




玄関先で頭を下げた徳田の父親。



少し酒の匂いがしたが、以前ほどではなかった。







「藍梨さんとお話できますか?」



「はい。呼んできますね」




お母さんも元気そうだった。





徳田は、元気がなく、あまり話したくないと言った。





でも、俺に言ったんだ。





「絶対に誰にも言わないから安心してください」と。




斉藤先生のことは知らないようだったので一安心。




斉藤先生と大和が付き合っているなんて知ってしまったら、人間不信になる。






とても短い家庭訪問だったが、俺はスッキリした気持ちで家に帰ることができた。





徳田は、もう俺を必要としていない。




そう感じたから。



落ち着ける家庭がある。



自分の居場所がある。



そう感じている徳田を見て、俺はホッとした。









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