白いジャージとオレンジジュース




「何か聞いたの?」



真面目な表情になる徳田。



やっぱり何か抱えている。


そう確信した時だった。






「先生~!!」



いきなり俺に抱きついてくる。




「おい、やめろ」


「今日はもう帰るね!!」




俺が引き離すと、徳田は鞄を持って、部屋から出て行こうとした。





「待てって」



俺は腕を掴んだ。





「きゃ~!新垣先生に襲われる~!!」



と大声を出す徳田。





思わず手を離しそうになったが、俺は離さなかった。





「話してくれよ。教師として、徳田の力になりたいんだ」



「知ってんでしょ?」




冷たい目で俺を見た。




「何を?何のことだか俺にはわからない」




そう言うと、徳田はソファに鞄を置いた。






「担任に聞けば?」



徳田は不機嫌そうな顔でため息をつく。




「徳田の口から聞きたい。何を悩んでる?」





俺は本当に何も知らない。



体育を担当しているわけでもないし、徳田の担任の先生と話すこともあまりなかった。





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