白いジャージとオレンジジュース
直は話し始めた。
お姉ちゃんのこと。
あの時、俺に家庭の悩みを話したのはどうしてなのか。
俺に話してどう変わったのか。
俺は、目を閉じたまま、直の手をぎゅっと握っていた。
毎日が苦しくて、逃げ出したかったと直は言った。
でも、自分がお母さんを守ってあげなくてはいけないと強く思っていた。
だけど、その重圧に押しつぶされそうになっていた。
誰にも話せなくて、どこにも吐き出せなくて、おかしくなりそうだったんだと直は言った。
どうして俺に話したのか、と聞くと直は首をかしげた。
先生に話したかった、ただそれだけかな、と。
先生なら助けてくれる、と思って話したのかどうかはわからないと。
ただ先生に聞いて欲しかったんだと。
「でも、先生がお姉ちゃんに会ってくれた時は、本当に嬉しかったんだぁ」
直は、涙ぐんだ。
その横顔を見ていると、俺は力が湧いてきた。