白いジャージとオレンジジュース
日に焼けた生徒達は、ちょっぴり大人になった。
生徒達の1ヵ月半は、俺達の1ヵ月半とは比べ物にならない。
空を見ていても思う。
空の1日は、俺達の何日分くらいなんだろう。
昨日できなかったことが今日はできる。
小さな手で、必死で何かを掴もうとしている空の姿は、たくさんの勇気をくれるんだ。
そして、職業柄、俺は空を見ていると生徒達のことを考えてしまうことがある。
父親になり、空と向き合うことで、俺はどう変わったのかな。
俺の目指す教師像に近付けたかな。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、バタバタと音が聞こえた。
「こらぁ~!廊下は走る、な??」
いつものように大声でそう言おうと思ったら、そこにいたのは徳田だった。
「新垣先生~!!今から、1年2組の教室に集合ですよ!!」
元気いっぱいにそう叫んだ徳田は俺を追い抜かし、走っていく。
「え?何?おい!こら!廊下は、走るなぁ!!!」
と言いながら、俺もつい走ってしまう。
徳田の笑顔を見たことで、テンションが上がってしまった俺。
何か、いいことがあったんだろうか。
俺は、期待に胸を膨らませながら、徳田の後ろを走った。