白いジャージとオレンジジュース





1年2組の教室には、心配そうな表情の斉藤先生がいた。





「先生、お待たせ~」




息を切らせた徳田が、斉藤先生に駆け寄る。



ずいぶん、仲が良さそうで安心した。





「今日は、先生達にお話があります!!斉藤先生、新垣先生、本当にうちの父が失礼なことを言ってごめんなさい。何度も何度も家に来てくれてありがとうございました」





黒板の前に立った徳田は、大きな声でそう言って、俺と斉藤先生の目をまっすぐに見つめた。






「昨日、お母さんが退院したんだ。ものすごく不安だったけど、お父さんはお酒を飲まずにいてくれた。きっと、先生達のおかげだと思うんだぁ~!」





俺と斉藤先生は顔を見合わせた。




俺達は何もしていない。



何もできなかったんだ。




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