白いジャージとオレンジジュース
「でさ、お父さんにその話をしたら、急に泣き出してさ。俺は、お前達を置いて戦争になんて行きたくない!なんて言い出すんだよ。だから、お酒が飲みたいだけでしょ?って私が言うと、お酒なんてどうでもいい。俺は家族を失いたくない、とか言ってさ。今だけだと思うけど、めちゃめちゃ反省してるみたいでさ。昨日は、絵に描いたような幸せな家族だったんだ~!!」
徳田は、家庭訪問はもういらないと言った。
いつか、本当に幸せな家族になれたらその時は、その様子を見に来てね、と言った。
俺も斉藤先生も、どうしていいかわからず、ただ涙を拭いていた。
酒乱の父親を持つ子供は他にもいる。
お酒を飲んでいない時のお父さんは好き、とみんな声を揃えて言う。
簡単にお酒をやめることはできない。
暴力もすぐになくなるとは思えない。
でも、ほんの少し、光が見えると、それだけで前を向いて生きていけるんじゃないだろうか。
徳田を見ていて、そう感じた。