恋するラジオ体操
次の朝、6時前。
タカシは、近所の神社にいた。

「ふぁ~。
こう明るいと、寝たりないな~。」

首をグリグリ回す。

「でも、ま、ご利益かわんないよね?」


いつものように、
水場でヒシャクを持つ。
ひたひたの水をくみ、手を洗って、口をすすぐ。
さらに、顔も洗っていた。

「はぁ、さっぱりした!!
やるかぁ!!」


サクサクと、細かな玉砂利を踏みしめて、拝殿にむかう。

朝もやの中、冷ややかな空気が漂っている。
巨大な神木に囲まれ、落ち着いた空間がある。

「……こいつら、何年たってんだろ?」



視線を落とし、
すっと伸びる道を見てると、
タカシは、自然と凛々(りり)しくなっていた。

「いくか」



拝殿につくと、作法どおりにして、お願い事をつぶやいた。

「…………。
……人見知りが、治りますように」

人気(ひとけ)のない神社に、その言葉は、ひっそりと染み込んでいった……。



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