三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
ひとしきり泣いた後
「こんなにも楓駕(ふうが)の事を愛(いと)おしく思える時期が来る事なんて、おじさまと出会った頃の私には想像も出来なかったの。なのにおじさまには私と楓駕の未来予想図がちゃんと見えていたんだわ。ううん。おじさまにしたって最初は愛する妻の連れ子がなるべく女性でつまづく事のないように、楓駕の事をあくまでもさり気なく見守る感じだったのかも知れない。それが意外にも楓駕がこの私の事を一途に思っている事を知り、もしかしたらこの私の事を探るためにおじさまは私に近づいたのかも知れない。だったならおじさまはこの私の事を楓駕にふさわしいと思ってくれていたんだろうか?おじさまが亡くなってしまった今となっては、その事をおじさまからじかに聞く事は出来ないけれど……」
と泣き晴らした真っ赤な目をして美園はそう言った。
その美園の言葉を受けて
「多分親父の目は節穴じゃないから美園の内面の良さをちゃんと見抜いていたと俺は思うよ。だから美園はそんなにも悲観する事なんてないんじゃないのかな」
と楓駕は言った。
その楓駕の優しい言葉を聞いて
「うっ、うわーん」
と美園は再び泣き出した。
「もう。美園がこんなにも泣き虫だったなんて、俺知らなかったよ」
と言うと楓駕は美園の事を抱き寄せて優しく頭をなでた。
「こんなにも楓駕(ふうが)の事を愛(いと)おしく思える時期が来る事なんて、おじさまと出会った頃の私には想像も出来なかったの。なのにおじさまには私と楓駕の未来予想図がちゃんと見えていたんだわ。ううん。おじさまにしたって最初は愛する妻の連れ子がなるべく女性でつまづく事のないように、楓駕の事をあくまでもさり気なく見守る感じだったのかも知れない。それが意外にも楓駕がこの私の事を一途に思っている事を知り、もしかしたらこの私の事を探るためにおじさまは私に近づいたのかも知れない。だったならおじさまはこの私の事を楓駕にふさわしいと思ってくれていたんだろうか?おじさまが亡くなってしまった今となっては、その事をおじさまからじかに聞く事は出来ないけれど……」
と泣き晴らした真っ赤な目をして美園はそう言った。
その美園の言葉を受けて
「多分親父の目は節穴じゃないから美園の内面の良さをちゃんと見抜いていたと俺は思うよ。だから美園はそんなにも悲観する事なんてないんじゃないのかな」
と楓駕は言った。
その楓駕の優しい言葉を聞いて
「うっ、うわーん」
と美園は再び泣き出した。
「もう。美園がこんなにも泣き虫だったなんて、俺知らなかったよ」
と言うと楓駕は美園の事を抱き寄せて優しく頭をなでた。