三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
「だろ。そんな事を思ったらさ俺と美園が出会ったのもなんか運命に導かれて、出会うべくして出会ったんだなってそう思えないか?」
  と楓駕(ふうが)がしみじみとしながら言った。




「うーん。だね。楓駕と私は別々の場所で生まれて、そして私が東京の大学を受験して受かって、たまたま楓駕が働いているファミレスでバイトを始めたから、楓駕と私は出会ってこうして今仲良く二人で望遠鏡を覗いているんだものね。そう考えると確かに私達は出会うべくして出会ったと言えるのかも知れないとつくづくそう感じるなあー」
  と美園が言った。




「たとえばさ。同じファミレスで働いていても、ただ普通に会話してるだけならそれは単なる職場の同僚で終わるじゃない。でも俺が美園を好きになって美園に対して特別な感情を抱いたから、単なる職場の同僚の枠から外れて俺達はこうして此処で望遠鏡を覗いているんだよね」




「そうだね。確かに楓駕の言う通りだね……」
  と美園は感慨深げに頷いた。
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