三種の神器‐戸嘴美園（こはし みその）の場合

「あーあ。母さん何なの茶髪と太ももをあらわにしたその格好は？若い子ならいざ知らず母さんはもう４０に手が届く年齢なんだぜ」
　　とそう言って楓駕（ふうが）は半ば呆れ顔で母親を嗜（たしな）めた。




「あら？！じゃあこっちの方が良かったかしら？」
　　と楓駕の母親は頭に手を載せるやいなやそのワンレンのストレートのカツラを、おもむろにパコっと取って見せた。




「もう、母さんは。どっちにしたっておんなじだよ。全くしょうがないなあー。ちなみに母さんホントはキチンとした席で俺の彼女を紹介するのが理想だったんだけど、此処でこうして偶然出くわしてしまったから俺的に不本意ではあるのだけど、取りあえずこの場で俺の彼女を紹介しとくね」
　　と楓駕（ふうが）は言った。



　　とそう言われた美園は
「あっ、はじめまして。私只今大学二回生の戸嘴美園です。宜しくお願い致します」
　　と言って丁寧に頭を下げた。