三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
「そうなんだ。俺はそんな母さんのコスプレ姿を見て、ただ目を背け続けてただけだった。ちなみにYONCOさんに母さんがコスプレ姿で外出していた本当の理由(わけ)を聞いて、俺はなんて間抜けな人間だったんだろうって、つくづく落ち込んだ……」
  と言うと楓駕(ふうが)は軽くため息をついた。




「あはははは。女性が子供を産む時期を除けば、人生何事に対しても遅過ぎるって事はないんだから、今回の事は前向きに考えれば良い事なんじゃないの。そんなにしょげる事ないって」
  と紫苑は楓駕にそう言って元気づけた。




「だね……」




  この時楓駕は美園を一人の男として生涯を通して守り抜くには、まだまだ自分は器が小さ過ぎると言う事をしみじみ感じていた。一人の女性を愛すると言う事は並大抵の事じゃないんだ。ちなみに楓駕は実の父親と義父が自分の母親の心音を精一杯愛したように自分も美園を愛したいと改めて思うのだった。



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