三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
  だって俺の母親は会社の経営なんてノータッチだったし、今更会社の実権を握ったところで全国展開の大規模な親父のファミレスを今まで通り順調に運営するのはムリだと思うしね。



  まっ、ポっと出の素人が会社を経営出来るほど世の中はそう甘くはないからね」
  と言うと楓駕(ふうが)の口からは大きなため息が漏れた。




  と、その時そうか。娘婿って言うのはチーフマネージャーの事な訳だから、やっぱり自分はファミレス内で楓駕とおじさまそしてチーフマネージャーとの、4角関係を繰り広げていた事になる訳だと美園は今更ながらそう思って、その自分がしていた事の間抜けさに、心底呆(あき)れた。




「ねえ、楓駕君の場合俗に言う野心ってないの?例えば今現在丁度お義父(とう)さまが亡くなった時期じゃない。だからこんな時にこそ『良し。俺が一念発起して社長になってやる!』的な感じの強い意志みたいなものがさあ」
  と七乃葉は楓駕に聞いてみた。
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