三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
  すると
「うーん。ないなあ」
  と楓駕はその七乃葉の問いに即答した。




「あららら……」
  と七乃葉は言うと楓駕のその言葉に明らかに落胆をしたようだった。まあ、七乃葉は錦小路家の跡取り娘で1人っ子だったから当然の如く婿養子が望ましく、結婚相手には少なくとも帝王学を学ぶにふさわしい野心家を望んでいたからなおさらだった。




  ちなみに七乃葉はなんか楓駕の事を知れば知るほど、自分の理想の結婚相手の条件から遠のくのを感じて、少し気が抜けかけていた。




  宵(よい)も酣(たけなわ)美園と楓駕(ふうが)それに七乃葉の3人は、すっかりと良い具合に出来上がりほんわか気分に浸っていた。と、その時七乃葉がケータイを手にして、錦小路家お抱えの車の運転手に連絡を入れた。
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