三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
  美園と七乃葉は楓駕(ふうが)に別れを告げた後、美園が住んでいるマンションに着くまでの間、おしゃべりを再開させた。




「ねえ、美園今夜は折角楓駕君に会わせて貰ったのに、ホントに申し訳ないけれどお婿さん候補としてはイマイチだからパスさせて貰うね。ちなみに楓駕君ってお母さまが再婚して突然にお金持ちになったからか解らないんだけれど、なんか中途半端なお金持ちって言う感が否めないと思うんだ。だからやはり『錦小路家の跡取り』としては相応しくないように思えるの。ごめんね!でね、私思ったんだけど楓駕君って私よりかむしろ美園向きだと思うのよ。あっ、気分を害しないでね。決して美園が限りなく庶民だからって言っている訳ではないのよ」
  と言いつつ七乃葉はあくまでもやんわりと断った。




「うん。解ってる。実は私も七乃葉と楓駕との会話を聞いていて、七乃葉が求めているお婿さん候補とはだいぶ違うかな?って思ったからそんなに気にしなくて良いからね」
  と美園が言った。




  でもってそんな会話を美園と七乃葉がしているうちに車は美園が住んでいるマンションに着いた。




  すると秋津が素早く運転席から降りて
「戸嘴さん到着しました」
  と言ってゆっくりとドアを開けてくれた。
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