三種の神器‐戸嘴美園(こはし みその)の場合
第5章‐こんなはずじゃなかったのに?!
  此処はおじさまが告別式をしたメモリアルホールから歩いておよそ3分ほどの距離にある、オネー系のマスターYONCO(よんこおー)が経営する喫茶店エトランゼである。ちなみに此処から美園が通学している大学までは歩いてほんの2~3分で、バイトをしているファミレスはエトランゼを挟んだ向かい側なので、美園はランチを食べに来たり楓駕(ふうが)との待ち合わせに良くココを利用していた。




  尚、このエトランゼでは暇を持て余し気味のおばさま蓮中達が日々集っては、昼間からファミレスや商店街はたまたご近所の家々の内部事情を真(まこと)しやかに語っていると言う。ちなみにご他聞に漏れず噂好きのYONCOは、今日もあくまでもさり気なーくエトランゼで耳をダンボにしてこっそりとおばさま達の噂話に聞き耳を立てていた。




  そんな中めっちゃ興味深い事を耳にしたYONCOは、『えっ!?それって紫苑(しおん)の旦那さまの更科 貴文(さらしな たかふみ)の事よね。って、はっ?あの旦那ったら他の女に子供を生ませている訳?うーん。それにしても紫苑の旦那ってなんてふざけたヤツなのかしら?ホント許せないわ』と思い即YONCOは紫苑にメールで話したい事があるからすぐにお店に来るようにと連絡した。ちなみに紫苑と言うのは楓駕の義理の姉の事で、YONCOとは幼馴染みでとても仲が良かった。




  そしてYONCOのメール連絡を受けた紫苑は担当するファミレスの経理事務の仕事を早目に切り上げて、夕方の5時過ぎにエトランゼに駆けつけた。
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