ケータイ小説を書くにあたって
友人Aはクスリと笑った。
「あんたでもそんなこと気にするんだ。」
「そりゃ気にするよ!誰にも読んでもらえない小説なんて、書く意味ないじゃん。」
読者もいない。
感想も書かれない。
私はそんな仕打ちに耐えながら、小説を書き続けるなんてタフな精神力は持ち合わせていない。
そして、おそらく、私が書こうとしている小説はすべて、そういう扱いを受けることになると思う。
だから、自分が書きたいものなんて書いたって、ただ虚しいだけなんだ。
「私が読むって言っても?」
「え?」
思いもよらない友人Aの言葉に、私は正面の彼女の目を見つめた。
「ヤンキーだろうが、宇宙人だろうが、俺様だろうが、どんな内容でも私が読んであげるから。だから、私のために何か小説書けば?」
ゆるやかに口角を上げる友人Aに、私はなぜだか胸の辺りがじわりと熱くなった。
……友人Aのために?
たった1人のために小説を―…?