ケータイ小説を書くにあたって
「え、ヒロイン三億持ってくんの?
ヒロインはお金持ちの設定ってこと?」
「そうそう。」
うん、そういうことにしておこう。
「ふーん、で?
ヒロインと俺様の出会いはどうすんの?」
友人Aはなんだか納得いかなそうな表情を浮かべつつも、次の展開に話を移した。
出会い、か。
キャラの設定すら曖昧なのだから、もちろん出会いのことなど考えているはずがなかった。
「食パンくわえ「アウト。」
私の言葉は友人Aに遮られた。
アウトってなんだ、アウトって。
「じゃあ、ヒロインが乗った宇宙船が俺様の家に突っ込んだことにしよう。」
「なんで、ヒロイン宇宙船に乗ってんの?」
「宇宙人だから。」
「ヒロイン宇宙人なの?」
「うん、今考えついた。」
「……………。」
友人Aは無言で席を立ち、ドリンクバーコーナーへと向かった。