あの加藤とあの課長*another side
そういった謎の洞察力、気の効くところ、本当に天才的だと俺はいつも感服せざるを得ない。




「陽萌、これ食べてみて、超美味しいから!」



昼休み中、オフィスで交わされるほのぼのとした会話。



「ん! おしひー!」



新発売のお菓子を食べる今泉と加藤。

女性社員かと今泉に突っ込みたくなる傍ら、幸せそうな加藤の表情を見て、俺まで幸せになっている。


そういった愛らしさや、幼さや、程よい女っけにも惹かれてみたり。



「そうだ、直人が陽萌に早く会いたいってさー! さっきメール来てたよ、なぜか僕のところに。」

「たぶん仕事中は私が相手しないの分かってるからだと思う。」



コロコロと可笑しそうに笑う彼女が、俺に現実を突きつける。

そうだった。


彼女は風間と付き合い始めるまでは、それはそれはふしだらだったのだ、男に関しては。

ところが、ここ最近ピタリとそれが止んだ。


彼女なりに誠実に風間に向き合い、そして交際している証なのだろう。


俺の出る幕は、いよいよなくなったように思えてならなかった。
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