あの加藤とあの課長*another side
加藤がそんな調子で出社したのは、その1度きりではなかった。
むしろあの1回を皮切りにそれは増えていき、またかと言わんばかりになってしまった。
さすがに声を掛けようかとも思ったが、加藤だけを特別扱いするわけにもいかないし、何より、加藤の様子に気付いているのは俺と今泉だけらしかった。
声を掛けようとしては止めて。
それを繰り返す日々がしばらく続いたある日、偶然、風間に出くわした。
最上階の1つ下の階に休憩所がある。そこに喫煙所もあるから、息抜きにと向かったところで出くわした。
向こうも喫煙所を利用しに来たらしかった。
「あぁ、生渕さん、こんにちは。」
「……。」
「…? あの……?」
向こうは、俺が今こんな感情を抱いているなんてこと、少しも考えないだろう。
この俺が、部下の恋愛に口を出すなんて。
「あれ、直人ー。」
口を開いた瞬間、間の抜けた呑気な声がした。
声の方を見れば、休憩所からこちらに歩いてくる加藤がいた。
むしろあの1回を皮切りにそれは増えていき、またかと言わんばかりになってしまった。
さすがに声を掛けようかとも思ったが、加藤だけを特別扱いするわけにもいかないし、何より、加藤の様子に気付いているのは俺と今泉だけらしかった。
声を掛けようとしては止めて。
それを繰り返す日々がしばらく続いたある日、偶然、風間に出くわした。
最上階の1つ下の階に休憩所がある。そこに喫煙所もあるから、息抜きにと向かったところで出くわした。
向こうも喫煙所を利用しに来たらしかった。
「あぁ、生渕さん、こんにちは。」
「……。」
「…? あの……?」
向こうは、俺が今こんな感情を抱いているなんてこと、少しも考えないだろう。
この俺が、部下の恋愛に口を出すなんて。
「あれ、直人ー。」
口を開いた瞬間、間の抜けた呑気な声がした。
声の方を見れば、休憩所からこちらに歩いてくる加藤がいた。